金属加工時に使用する水溶性切削油(クーラント)は、濃度管理が重要です。
本記事では、切削油濃度管理のメリットや方法などをご紹介いたします。
目 次 |
切削油の濃度管理をするメリット |
切削油の濃度管理がしっかりできていないと、金属加工に様々な影響を与えてしまいます。
下記は、その一例です。
濃度が低すぎると | 濃度が高すぎると |
・金属加工の精度が不安定に | ・油剤のランニングコストが高くつく |
・切削工具のサビ、変色による消耗 | ・機械周りがベタつき、作業環境が悪化 |
・油剤の腐敗の進行が早まる | ・作業者が手荒れを起こす |
いつ濃度測定を行うべきか? |
切削油濃度測定のタイミングは、大きく3つ挙げられます。
作業者の勘や経験頼りではなく、数値化することで適正な濃度管理が行えます。
正しい濃度測定のやり方 |
切削油濃度計は、糖度計と同じ測定原理で屈折率を測定し、Brix値を算出します。
Brix値はショ糖の濃度を表すもので、切削油濃度と相関性はありますが、同じ値にはなりません。
そこで切削油濃度を算出するために換算係数をかける必要があります。
切削油の種類によって換算係数は異なります。
油剤メーカーが、換算係数や適正濃度の情報を出していることがほとんどなので、
まずは各サイトを確認しましょう。
換算係数が分からない場合は、自分で計算して求めることができます。
切削油濃度とBrix%の関係は以下の式で表せます。
y = ax + b y:切削油濃度 x:測定値(Brix%) a:傾き b:加減 |
~ 換算係数の計算方法 ~
① 濃度10%の混合希釈液を作成する
② 切削油濃度計(屈折計)で測定する
8%と表示された場合
③ 上記式( y = ax + b )に当てはめると10.0 = a×8.0となり、係数a(傾き)は1.25と算出される
2種類の濃度の溶液を作成すると、係数b(加減)を求めることもできます。