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夜間の熱中症とヒートアイランド現象の関連性

作成者: Riho Kato|2023/06/19 3:00:00

 

熱中症は、気温が高い日中に発生しやすいイメージがあると思いますが、

意外にも夜間に多く発生しています。(下図参照)

東京都福祉保健局 東京都監察医務院:令和元年夏の熱中症死亡者数の状況【東京都23区(確定値)】より作成

 

夜間や睡眠中に熱中症が発生しやすい原因は、主に以下の2点です。

1. 昼間に蓄積された熱

   昼間の強い日差しによって、壁や天井などに蓄積された熱が徐々に伝わり、

   夜間でも部屋の温度が高くなります。

2. 水分不足

   睡眠中は水分補給ができず、汗や呼吸で水分が失われるので、脱水症状が起こりやすくなります。

 

また、夜間の熱中症にはヒートアイランド現象も関わってきます。

ヒートアイランド現象とは、郊外に比べ、都市部の気温が高くなることですが、

昼間よりも夜間の方がその気温差が大きくなるとされています。

下図は、東京と青梅のある5日間の1時間ごとの平均気温の比較をしたグラフです。

国土交通省気象庁:過去の気象データより作成

 

ヒートアイランド現象の主な要因としては、以下3つが挙げられます。

1. 人工排熱の増加

   建物や工場、自動車などからの排熱、また夏はさらにエアコンの利用が増え、室外機からの排熱も増えます。

2. 地表面被覆の人工化

   蒸散を行うことで大気の熱を奪ってくれる緑地が減少し、

  代わりにアスファルトやコンクリートに覆われた地面が増え、熱をためこみやすくなっています。

3. 都市形態の高密度化

   ビルなど中高層の建物が密集すると、風通しが阻害され、熱がこもりやすくなります。

 

特に夜間は、これらの要因の影響がより顕著になります。

1. 人工排熱の増加 ⇒ 夜間でも多くの家庭や建物がエアコンを使用することになると、

排熱が多くなりヒートアイランド現象の影響が高まります。

2. 地表面被覆の人工化 ⇒ 昼にためこまれた熱は、夜間にゆっくり放出され、気温低下の妨げになります。

3. 都市形態の高密度化 ⇒ 密集した建物が原因で天空率(見上げた時の空の見える割合)が低くなるため、

夜間の放射冷却が進まず、昼に蓄えた熱を明け方まで持ち越しやすくなります。

 

都市部でも郊外でも周囲の環境要因によって、熱中症リスクは異なります。

気温だけでは、熱中症リスクを正確に判断することができないため、

熱中症指数計を使用して、自身が生活をしている環境のWBGTを可視化することが重要です。

 

 

参考文献

東京都福祉保健局 東京都監察医務院:「令和元年夏の熱中症死亡者数の状況【東京都23区(確定値)】」

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kansatsu/oshirase/R01-heatstroke.html 

環境省:「ヒートアイランド対策ガイドライン平成24年度版 ヒートアイランド現象とは」

https://www.env.go.jp/air/life/heat_island/guideline/h24/chpt1.pdf