放射温度計は物質の表面から放射される赤外線エネルギー量を赤外線センサーで検出し、
そのエネルギー量から物質の表面温度を測定する計測器です。
下図のように物質に入射した赤外線エネルギーは、
物質に吸収される場合・表面で反射される場合・物質を透過する場合の3つの場合に分かれます。
また、全ての物質は赤外線エネルギーを放射しています。
吸収された赤外線エネルギーと物質表面から放射される赤外線エネルギーは同じ量となるため、
放射率 ε = 吸収率 α になります。
入射したエネルギーを反射も透過もしないで、すべて吸収する(ε = α= 1)理想的な物質を「黒体」とよびます。
しかし、実際の物質では多かれ少なかれ反射や透過が起こります。
放射率、透過率、反射率の関係性は、放射率+透過率+反射率=1になります。
上記の通り、物体は赤外線エネルギーを100%放射するわけではないため、
放射エネルギーは同温度の黒体(放射率1)より少なくなります。
よって、そのまま温度測定をすると、実際の温度より低く温度表示されてしまいます。
そのため、放射温度計による温度測定時には、同温度の黒体(放射率1.0)と比較して、
測定対象物からどの程度赤外線エネルギーが放射されるのかを放射率として設定する必要があります。
また、物質の放射率は材質や表面の状態によって影響を受けます。
下表は物質ごとの代表的な放射率の一覧です。
※人体の皮膚の放射率の記載がありますが、放射温度計で測定できるのはあくまで皮膚の表面温度になります。
体温を測定することはできません。詳しくは以下をご覧ください。
赤外線放射温度計およびサーマルイメージカメラに関するお知らせ