放射温度計で正しく物質表面の温度を測定するには、正確な放射率を設定する必要があります。
そのためには物質の放射率を求めることが必要になり、その方法は3つあります。
①接触式の温度計と比較する(下図参照)
実際に測定する温度まで調整された測定対象物を
校正された接触式温度計と使用する放射温度計で同時に測定します。
放射温度計の測定値が接触式温度計の測定値と等しくなるように放射温度計の放射率の設定値を調整します。
②黒体テープや黒体塗料(スプレー)を使用する(下図参照)
黒体テープを貼るか、黒体塗料を塗った測定対象物を実際に測定する温度まで調整し、
黒体テープまたは黒体塗料の放射率(0.95前後)で設定された放射温度計で測定します。
黒体テープ・塗料無しの部分の温度表示値が黒体テープ・塗料ありの部分の測定値と等しくなるように
放射温度計の放射率の設定値を調整します。
③文献で調査する
文献やウェブに記載されている放射率を調べます。
しかし、この方法だと測定物が網羅されていなかったり、
表面状態・温度等によって数値の幅がある場合もあるため注意が必要です。
『放射率とは』の記事に物質ごとの代表的な放射率の一覧を掲載しております。
当社では、放射率を0.10~1.00まで0.01きざみで設定(変更)可能な製品
【AD-5634,AD-5618,AD-5614,AD-5616,AD-5612WP,AD-5612A】、
0.05~1.00まで0.01きざみで設定(変更)可能な製品【AD-5613A】、
0.95 / 0.70 / 0.30 から選択可能な製品【AD-5635】を取り扱っております。
別売りの熱電対温度センサーを接続できる放射温度計も取り扱っており、
①の「接触式温度計と比較する」方法でかんたんに放射率が設定可能になります。