放射温度計で水・ガラス越しの温度は測定できるのでしょうか。
水は無色透明なため、一見透過率が高く、温度が測定できないように思われますが、
実際は放射率が0.98と高いため、一般的な放射温度計で表面温度を測定することが可能です。
(参考:A&D電子計測機器公式ブログ『放射率とは』 https://blog.aandd.co.jp/sp/ad-5635/housyaritsu )
しかし、放射温度計はあくまで表面温度を測る製品なので、水の内部の温度は測定できません。
ただし、緩やかに攪拌している状態で、内部と表面の温度差がないと仮定される条件では、
表面温度と内部温度が同じと見なし、内部の温度を測定することができます。
水際で温度測定をする場合には、防滴タイプのAD-5612WP、防水タイプのAD-5617WPがおすすめです。
また、ガラス越しの物質の温度は測定できません。
物質の手前にあるガラスの温度を測定してしまうからです。
放射温度計は空気の温度を測定しないようにするため、
8~14㎛の波長領域に感度のある赤外線センサーが用いられています。
(参考:A&D電子計測機器公式ブログ『放射温度計による空気の温度の測定』
https://blog.aandd.co.jp/sp/ad-5635/kuuki-ondosokutei )
一般的な石英ガラスは、5㎛以上の波長領域の赤外線はほとんど透過しません。
つまりガラスは8~14㎛の波長領域では、赤外線エネルギーをよく吸収して、よく放射するため、
放射温度計でガラス越しに温度測定をしようとしても、ガラス表面の温度を測定してしまいます。
人の目にはガラスは透明で、ガラス越しの物質は見えますが、
実際、ガラスは放射率が高く、透過率が低いため、放射温度計の赤外線センサー上ではガラスは不透明で、
ガラス越しに物質の温度を測定することはできません。